
先日、吉田隼人選手が開発したカフェインドリンクについて紹介した記事があったのを覚えていらっしゃるでしょうか?
あれから色々と気になることがあり”カフェインがサイクリストやトライアスリートに対して、どれぐらいの効果があるのだろうか?“という具体的な数値があるかどうか気になったので、何か論文がないかなと調べてみました。
すると、ちょっと気になるものがあったので紹介したいと思いますが、その前にBOOST SHOTおよび国内で販売されているカフェンドリンクのおさらいをしてみたいと思います。
日本国内にあるカフェインドリンクの紹介
まず、国内にあるカフェイン含有量の多いドリンクで言えば”翼を授ける“でおなじみに”レッドブル“が思いつくのではないでしょうか?何かしらのイベントに参加するサイクリストにとって、お世話になった方も多いのではないでしょうか。
そんなレッドブルですが、皆さんはどれぐらいのカフェインが入っているかご存知でしょうか?他にも、一度はコンビニやCMで目にしたことがあるかもしれない有名なドリンクの中のカフェイン含有量を、商品と共に見ていただきたいと思います。
商品名 | カフェイン含有量 |
リポビタンD | 92.5mg ( 100ml ) |
メガシャキ | 100mg ( 100ml ) |
眠眠打破 | 120mg ( 50ml ) |
レッドブル | 110mg ( 355ml ) |
モンスターエナジー | 140mg ( 355ml ) |
※ ( )内は商品の容量になります。
実はレッドブル、そんなにカフェインが多くないということがわかります。同じ容量でもモンスターエナジーの方が多いというのが、個人的には意外でした。
さて、吉田隼人選手が開発したBOOST SHOTですが、カフェイン含有量はなんと180mg (50ml)というとんでもない数値を叩き出していいます。個人が知る中で、国内で販売されているカフェインドリンクの中でも最高値ではないかと思われます。
そんな様々な数値を知ったところで、併せて知らないといけないことは”どれぐらいのカフェイン摂取量で効果が出るのか?“ということです。皆さんはレース前、トレーニング前などでカフェインを摂取する場合、どれぐらい飲んでいるでしょうか?ここで、参考になりそうな論文を紹介したいと思います。
論文紹介
【メタアナリシス】
こちらは”カフェインを摂取した結果、持久的パフォーマンスの結果がどのように変化したのか“という結果を数多く集めて集計し、より高い知見から分析したものになります。
集計されたデータでは、トライアスロン、ランニング、ローイング(ボート競技)などの持久的スポーツもありますが、80%以上はサイクリングに関するデータになっているため、この論文結果は多くのサイクリストに当てはなるのではなないかと考えられます。
こちらの数多くの論文内の数値データをわかりやすくまとめてくれた一覧表があったので、こちらに載せておきます。
【結果一覧1.】持久力向上の比較をタイムトライアルで行った結果一覧
【結果一覧.2】時空力向上の比較をタイムトライアルのパワー(生理学的反応)で比較した結果
この結論から有意義だと考えられるものをまとめてみると、
・体重1kgに対して3.0 – 6.0mg の服用で、持久力向上の効果が狙える。
※ 1日400mgを超えるカフェインの摂取は体調不良(カフェイン中毒など)になるケースも考えられるため、”3.0mg /1kg”程度でも効果は得られる。
・良好な結果が得られる結果の摂取方法としては体重1kgに対して6.0mgを運動60分前に摂取するものが多い。
※遺伝子タイプによって、対象の変化はあります。
ということが言えそうです。
こちらの論文は”持久的運動(TT的なエクササイズ)”に対する効果はあるものの、”Vo2maxの向上に関する効果”は二の次といったような表現と思われる部分がありました。つまり、カフェインによる持久力向上は、生理学的にフィットネスレベルを向上させるというよりも、神経的なものに対する作用が強く働く物質と言えるのだろうと考えられます。※疲労に関わる神経活動を抑制することによって得られる効果
とは言いつつも、一部レクリエーションレベル (今回の論文の Vo2maxの平均値は 58.3±8.0ml / kg / min あたりを示唆していると考えられます)では効果があると考えられるものもあるので?アマチュアサイクリストの多くの方には効果があるのではないでしょうか。この辺りは有益な情報があれば、また発信していきたいと思います。
また、トレーニングだけでなくレースに関する記述もされていました。
レベルの高いエンデュランスイベントになると、89%くらいの人がカフェインを摂取しているそうです。よってカフェインを摂取することで、参加者と条件が揃うため有利になることはないかもしれませんが、摂取しないことで不利になる、ということがありそうです。このことから、レースをする人は”レース前に摂取することで周りの人と同じスタートに立てる“と考えてもいいでしょう。
結果
この結果を元に、実際に体重60kgの人がカフェインを6.0mg/kgで摂取しようとすると360mgも摂取することになります。
摂取してみるとわかるのですが、人によっては心臓がドキドキバクバクしたり、胃が痛くなったり吐き気を催す人もいると思います。そのため、上記にも書きましたが3.0mg/kgを目安に摂取するといいでしょう。そうすると、体重60kgの人で言うなれば丁度BOOST SHOT1本分に相当すると言えそうです。最近はコロナウイルスでレースが中止になっているので、来たるべき日に向けてZwiftのようなバーチャルレースで一度試してみるといいかもしれませんね。
また、レースだけでなく、ブレイクスルー(自身の限界を突破するためのワークアウト)の前に摂取することで、自身の限界を超えることができる可能性もあるので、8月の乗鞍やシマノ鈴鹿などに向けて週1回、または隔週で1回の頻度で、カフェインを摂取したワークアウトを取り入れるのもいいかもしれません。
その他にも、このメタアナリシスのいくつかは、β-アラニンやクレアチン、炭水化物などとカフェインを併用した論文もありました(プレワークアウト系サプリメントとしての摂取)。それについても書きたいと思いますし、皆さんの大好きなHIIT(高強度インターバルトレーニング)とカフェインの効果についても書かれている別の論文があったので、それについても書きたいと思いますので、お待ちください。
※コロナウイルスで時間ができたので、きっと書けると思います…
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
余談
他にも多くの論文を読んでいたのですが、日常的にカフェインを摂取している量が
・150mg以下
・150 – 300mg
・300mg以上
という3つのグループに分けて、運動1時間前に体重に対して6.0mg のカフェインを摂取させてテストを行った結果 (150w からスタートして1分ごとに20w 負荷を上げていくテスト) 、日常的に摂取しているカフェインの量に関係なく”効果がある人には効果があるし、ない人にはない”という結果が出た論文を見たのですが…自身のノートにその論文の情報をなぐり書きをしてあるだけでリンク先が消えてしまいました(泣きそう)。ちなみにその論文には、2.0-3.0mg / kg のカフェイン摂取でも効果はあると書かれていましたが…また見つけたら、紹介したいと思います。