
私はクライアントに、目的目標を達成するためのトレーニング計画(ペリオダイゼーション)を提供する仕事もしています。
対象としては、オリンピックやパラリンピックを目指したり、ヨーロッパでプロを目指したりする選手から、乗鞍ヒルクライムやニセコクラシックなどを目指したりするアマチュア選手まで、幅広くプログラミングさせていただいてます。
そんな彼らに対し、プログラムを組み立てるときは、
1. 目的の把握 (数値化)
2. 現状の把握 (数値化)
3. 目的 – 現状 = 達成すべき目標の把握
4. 目標を細分化し、漸新世を持たせたペリオダイゼーションの作成
という形で進めています。また、作成するペリオダイゼーションは
A. マクロサイクル
B. メゾサイクル
C . ミクロサイクル
という形で組み立てられています。
このペリオダイゼーションについて書いてしまうと、とても長くなってしまうので、また別記事として書こうと思いますが、今回はミクロサイクル(1週間のプログラム)について説明したいと思います。
Contents
基本的な1週間のトレーニングプログラム
まず始めに、とても大切なことをお話ししておきます。
トレーニングの方法に関しては、科学的知見に基づいた情報が誰でも得ることができるようになってきました。ただし、ペリオダイゼーションに関しては科学的知見というものが現状では無いと言っても過言では無いほどに情報がありません。つまり正解がわからないということです。
とはいうものの、コーチである職に付いている人は、様々な科学的知見に基づいて、少しでもアスリートであるクライアントに効率的かつ効果的なプログラムを提供し続けなくてはいけません。
✔︎ ワークアウトは材料
✔︎ プログラミングは調理
いうように考えるとわかりやすいと思いますが、我々コーチはワークアウトをうまくプログラミングし、クライアントに提供する必要があります。
こうして様々なプログラムを作るのですが、こちらの記事では基本的な1週間のトレーニングプログラムを紹介したいと思います。
ただ、どんな方がプログラムを実施すると効果があるのかと疑問に思われる方も多いと思うので、以下のような方におすすめします。
・CTLが 60 – 80程度
・土日が休日
・トレーニング方法が定まっていない
さて、以下を参考に行ってみましょう。
【1週間の主なトレーニングの流れ】
月曜日 : 完全休養日
火曜日 : Z5 or Z6 Interval (苦手な方)
水曜日 : Z5 or Z6 Interval (得意な方)
木曜日 : Strength → Z3 Ride
金曜日 : Z1 or 完全休養日
土曜日 : Z3 + Z6 Interval
日曜日 : Z2-3 (Group Ride) + Z7 Sprint → Strength
※Strengthは自体重エクササイズにしています
ワークアウトの配列になっているのには、理由があります。
1. 火曜日の比較的フレッシュな状態で苦手な種目を持ってくることで、達成率をあげる
2. 水曜日に得意な領域のワークアウトを行うことで、心理的に余裕を持たせて達成率をあげる
3. 木曜日と金曜日は疲労しているので、動作改善および筋力向上(別の刺激)を入れる
などの様々な理由がありますが、細かく説明しているとキリがないので、まずは”そんなもんなのか”と行動することが大切です。
実際にどんなプログラムを行っているのかを、各曜日ごとに見てみましょう。
Z5 or Z6 ( 火曜日 or 水曜日 )
Z5のメニューは以下の通り
5分間の高強度を5分間の休息を挟んで3セット実施しましょう。また、3セット終わったら10分の休息を挟んで再度実施します。ケイデンスは指定せず、自身が快適に取り組めるケイデンスから始めていきましょう。
Z6のメニューは以下の通り。
1分間の高強度を3分間の休息を挟んで5セット実施しましょう。また、5セット終わったら20分の休息を挟んで再度実施します。ケイデンスは指定せず、自身が快適に取り組めるケイデンスから始めていきましょう。
これらを、Z5が苦手ならZ5を火曜日に、Z6が苦手ならZ6を火曜日に実施しましょう。水曜日も同様です。
Z3 ( 木曜日 )
こちらは、Strengthを実施した後に行うことで”動作改善”に繋がることが多くなるでしょう。火曜日と木曜日および直前のStrengthの疲労を考え、Z3領域で気持ちよく回すのがいいでしょう。もし、Strengthを導入しない場合は、Z3.5(Sweet Spot)またはZ4( LT )でのインターバルを行うものいいでしょう。
Z1 ( 金曜日 )
3日間動き続けると、疲労がたまる方が多いと考えられるので、一度疲労を抜きます。ただし、ここでは”疲労がたまらないように動く”という選択肢もあるので、3本ローラーなどで負荷をかけずにスキルを高めるという方法もあります。
Z3.5 + Z6 ( 土曜日 )
上記のメニュー以外にも、様々な方法が考えられます。
例えば、30分間のSweet Spot Interval の前に2分間の高強度を導入するとか、2分間の高強度を3セット実施後に30分の間のSweet Spot を実施し、それを2サイクル行うなどです。
今回は、レース後半に向けて”力をしっかりと発揮する”ということをテーマに組んでみました。2時間以下のロードレースやエンデューロに向いていると考えられるので、取り組んでみてはいかがでしょうか。
Z2-3 + Z7 ( 日曜日 )
ここで取り組みたいのは”集団走行”や”スプリント練習”です。
並列走行は、日本国内の道路交通法上不可ですが、縦列走行はできるので、前後の間隔を確認するように走行したり、上り坂でアタックを掛けたりスプリントをして突き放したりなど、少々レースで必要とされる技術的なものを練習するのもいいのではないかなと考えています。
Strength ( 木曜日 & 日曜日 )
さて、こちらのプログラムにはStrengthが含まれています。
ジムに行かれていない方を想定しているので、自体重でのトレーニングになりますが、筋力向上だけでなく臀筋およびハムストリングの柔軟性向上に伴う)動作改善なども含んで考えてます。
自体重エクササイズに関しては、過去に自身でオススメのエクササイズとして紹介しているので、以下の動画を参考にしてみてください。
ワークアウトファイル
さて、せっかく読んていただいたのに読んでおしまいではもったいない。このプログラムをしないわけにはいきません。
ということで、ワークアウトファイルを用意しておきましたので、興味のある方は2〜4週間ほど実施してみてください。※Trainin PeaksやZwiftにダウンロードすることができます。
トレーニングは奥が深く、個人に合わせたプログラムが必要だと考えています。ただし、まだまだトレーニングを詰め込んで行っていない方の場合は、こちらの内容だけでも十分に改善・向上されるケースもあると考えられますので、参考に取り組んでみてください。