オルカトレーニングラボ

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BIKE FITTING

バイクフィッティングレポート #002

2022.2.5

本日は、ORCA CYCLING TEAM に所属する初川選手のフィッティングを実施ましたので、簡易的なレポートを書きたいと思います。

 

● 目的目標
・腰の痛みの解消
・股関節の詰まり感の改善

 

● 現状
乗車時にある一定の強度・時間を超えると腰の痛みが発生してパフォーマンスが低下していくことに合わせて、上死点通過時に股関節のつまり感があり、うまくペダリングが行えない。

 

● 見解
カウンセリングから大腿四頭筋(大腿直筋)の硬直および大臀筋の筋出力がバイク上で低下している可能性があると予想。身体 + 乗車時のアセスメントから、股関節の詰まり感から発生する上死点通過時のブレ(骨盤の安定性低下)が原因で、大臀筋が使えない + 大腿四頭筋の使用率が高くなっていることが腰痛の原因ではないかと予想。

 

また、自身が行っているストレングストレーニングの影響で変化した筋力および柔軟性が、ペダリングを行うための動作にうまく転移できていない + 適切なポジション自体が変化している可能性があると予想。

 

● 対処方法
1. クリート位置の調整
MP関節上にクリートの中心位置が来るように設定。
※ クリートの調整方法はどこかでお伝えします。

 

2. サドルの高さ調整
何を基準に高い-低いと判断するかは難しいが、明らかにサドル位置が低いと感じた。股関節のつまりを解消するために、サドルを下げて股関節の屈曲角度を緩やかにするのは分からなくもないが、大臀筋/ハムストリングの使用率低下が気になるところ。また、上死点において膝関節の屈曲角度がキツくなることで、大腿直筋に対するストレスがかかり余計股関節の詰まり感を感じさせてしまうのではないか予想し、20mmほど上げた。


※ 写真 … 股関節の詰まりの原因と対処方法の説明中 (雑ですみません)

 

● 反応
上死点でのつまり感が解消され、下ハンを握っても左右股関節の詰まり感は消えているとのこと。また、大臀筋を使用する感覚が生まれ、力強いペダリングができます、というお声を頂いた。細かい本人の感想は、以下よりご確認ください。

初川選手 : フィッティングのお声

 

● その他 
ポジティブな反応を頂いていて嬉しいところですが、一つだけ悲しいお知らせがあります。しばらくの間、大臀筋を主働筋として使用するペダリングのスキル(神経回路)自体が閉ざされていたため、適応するまでに少々時間がかかると考えられます。

 

しかし、その適応が完了したところから大きなパフォーマンス向上につながると考えられるので、その適応を早く起こすためにもSFR→SST(Z3.5) ~ Vo2max(Z5)という流れでワークアウトに取り組みましょう。

 

● 伊藤の感想
体育学部在学ということもあり、機能解剖学やバイオメカニクス、運動生理学の基礎基本となる知識に基づいて説明しました。せっかくですから、自身の学んだ知識に基づいて自転車競技にチャレンジすると、より面白くなるのではないかなと思います。

 

自転車は機材スポーツですから、機材のパフォーマンスを最大限発揮するために様々なことを考える必要があります。その中で、空気抵抗を考慮した姿勢などに取り組み、筋肉や関節にストレスをかけることもあるでしょう。しかし、そこで怪我をしたり痛みで自身のパフォーマンスが引き出せないとなると、果たしてそこにこだわる必要はあるのか?ということも考えないといけません。

 

ここは私の考えですが、優先順位としては自身のパフォーマンス > 機材のパフォーマンスとした上で適切な能力を身につけ、自身 – 機材パフォーマンスのトレードオフを考慮し、最適解を見つけることがベストパフォーマンスに近づくのではないかなと思います。

参考記事
フィットネスとスキルの関係性

 

何かで悩まれている方、参考にしてみてくださいね。

 

受講いただき、ありがとうございました。 

 

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