オルカトレーニングラボ

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パワートレーニング

COUPE DE AACA(1-1)のレースデータを解析して、トレーニングメニューを作ってみた。

2017.2.22

年々、東海地方のサイクルロードレースは盛り上がりをみせています。中でも岐阜県海津市にて月に1度開催される「平田クリテリウム(以下、平田クリテ)」と「COUPE DE AACA(以下、AACA)」というレースが人気です。その理由として、平田クリテリウムは1回1,000円、COUPE DE AACAは1回2,000円でそれぞれ参加することが可能であり、平田クリテはC5からC1、AACAは1-4から1-1、といったように細かくカテゴリーが分けてあり、現在のフィットネスレベルに合わせてレースに参加しやすいことも人気の理由です。そのため、徐々に東海エリアの自転車競技レベルが向上しているようにも感じます。このようなレース環境があることに感謝ですね。

  • COUPE DE AACAのHPはこちら
  • 平田クリテリウムのHPはこちら
    ※別のページに飛びます。

先日、指導しているマトリックス・パワータグ所属の吉田隼人選手(吉田選手のFacebookページはこちら)が、オフシーズンの仕上がりの確認のためにAACAの1-1(トップカテゴリー)に参加しました。結果、今回は優勝できませんでしたが、現時点での彼の調子を確認し、どれほどにまで仕上がっているのかを見ることができました。また、AACAのパワーデータを得ることができました。今回は、そのパワーデータを見ていただきながら、AACAに参加するための準備として、どのようなトレーニングを実施していけばいいのかをご案内させていただきたいと思います。

COUPE DE AACAのレースデータをチェク

今回のコースプロフィールは「1周5.1km×18周=91.8km」を時計回りに走行します。このエリアは風向きやその強さによってレースが左右される傾向にありますが、今回は比較的穏やかな風の中で開催されました。そのため、勝負となるポイントとしては1周ごとに通過しないといけないZコーナー(もしくはZ坂)といわれるAACAの名物となる箇所だと考えていました。

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そんなポイントを踏まえて、今回吉田選手が完走したAACAのパワーデータの一部を見てみます。また、レースのイメージがつきやすいように吉田選手のレースレポートをFacebookページから見てみるのもいいでしょう(吉田選手のFacebookページはこちら)。

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パワーデータはレース開始から1時間までのデータです。

スタートから約8分置きにパワーが600-700wまで一気に上がっています。これはZコーナーを抜けたストレートで加速する時に掛かったパワーになります。この時、吉田選手は30分ほどW-UPのつもりで集団の後方(後ろから10番目以内)で走っていたため、コーナーの立ち上がりにて集団に追いつくため、爆発的な加速が求められます。また、7周回目では先頭から5番目でZコーナーを入り、ストレートを迎えたため、Zコーナーの立ち上がりではあまりパワーを出すことなく余裕をもって走ることができています。

今回の1-1でレースが決まった瞬間は次の8周回目。優勝した選手の乗った5名の逃げが生まれた周回です。この時、吉田選手は先頭から5-6番目でZコーナーを抜け、逃げ集団の後ろにいましたが、逃げを狙ったアタックを追うことなく、集団に戻りました。そのため出力が7周回目と同じように穏やかな立ち上がりになっています。その後、逃げグループと1周で約35秒ほど差がついたところで、1時間経過してからマトリックスの5名で逃げ集団を追うように走る形になりましたが、その距離を詰めることができずに逃げグループのスプリントでレースを終えました。

レース展開において、今後生かすべきことが判明しましたが、今回はこちらの記事を見ていただいている皆さんに、AACAやさまざまなレースを走る上で必要となるトレーニングの組み方についてご案内していきたいと思います。

COUPE DE AACAを走るための練習を考えよう

逃げが決まった時あるいは逃げ集団を追う時のパワーデータはこのような波形とは異なりますが、8周回目の逃げが決まるまでのパワーデータの波形は、レース中に終始集団内にいる時と変わらないでしょう。また、1-1以外のカテゴリーでも、集団内にいる場合はこのような波形を表すことが多いでしょう。そのため今回のようなコースで成績を納めたいという場合や、レースを完走したいという場合のトレーニングは、レースから得たパワーデータを参考に作ることができます。これはさまざまなレースに応用できますが、今回はAACAということで、こちらのグラフを見てみましょう。

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ここからはパワートレーニングの専門的用語を交えて解析していきます。

1時間以内のパワーデータをゾーンごとに分けた場合、FRC/FTP(L5:Vo2max)-FRC(L6:Anaerobic Capacity)というZコーナーを抜けた時のようなインターバルがかかる割合が全体の25%ほどになります。そのほかの割合でいえば、L4:FTP-L3:Tempoの割合が一定25%で、L2:Endurance-L1:Recoveryを合わせると全体の50%ほどになります。また、レースのパワーデータの波形のリズムを解析すると、1周回するのに約8分かかり、1周の中でFCR/FTP-FRC強度のインターバルが3~4回かかります。

こうしたデータを考慮してトレーニングを組んでいく場合、以下のように実施するとAACAを想定したトレーニングができるのではと考えます。

30分間SST-CrissCross{1分30秒(Tempo-SST強度)+30秒(FRC/FTP-FRC強度)}+ 5分レスト

さらに掘り下げると、これを1setを実施する場合は1-4を…2set実施する場合は1-3から1-2を…といったようにカテゴリーを想定したトレーニングも可能になります。例えばこのデータの元になっている1-1の場合は、2時間30分ほどかかるので、こうしたトレーニングを5set実施しましょう、となるわけです。ぜひ、こちらを参考にパワーデータを利用したトレーニングを実施してみてください。

レースデータ以外でパワートレーニングを実施する場合は、こちら(2017.2.15-Q.8 パワートレーニングを行う方法とは?Part.5-メニューの作成(前編))も参考にどうぞ。それ以外で詳しく知りたい場合は、各種参考書を読むことをオススメします。

パワーメーター装着がお勧め

パワーデータがあると、このようにトレーニングを実施することができます。レースをする方の場合は、取り付けることをお勧めします。使い方でわからないことがあれば、こちらのHPのさまざまな記事を参考にしていただきながら使用いただくか、直接お店の方に聞いてみましょう。

まだパワーメーターをお持ちでないよ、という方はこちらの記事を参考にどうぞ。

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