オルカトレーニングラボ

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トレーニングの教科書

ウエイトトレーニングついて – 正しいフォームとは –

2021.8.23

皆さんは “ストレングストレーニング” という言葉をご存じでしょうか。

 

ストレングス(Strength)とは、日本語に訳すと”筋力“と訳され、筋力を向上させるトレーニングをストレングストレーニングと称されます。また、私が保有している資格の一つであるNSCA(全米ストレングス&コンディショニング協会)では、以下のように定義しております。

 

ストレングス(Strength)とは、筋力、パワー、筋持久力のみならずスピード、バランス、コーディネーション等の筋機能が関わるすべての体力要素に不可欠な能力であり、単に力発揮の大きさを表すだけでなく、状況に応じて適切に筋活動をコントロールするための「神経-筋系全体の能力」
NSCA ストレングス&コンディショニングとは?より引用

 

つまり、上記の能力を向上させるための手法をストレングストレーニングと称されることになります。

 

その方法として、レジスタンストレーニング・ウエイトトレーニング・プライオメトリックトレーニングなどが挙げられますが、その中でも多くの人に親しまれている”ウエイトトレーニング” についてのお話をしたいと思います。

 

ウエイトトレーニングについて

ウエイトトレーニングとは、重量を負荷として使用したエクササイズを表します。代表的なもので言うと、ダンベルやバーベル、マシンを使用した運動がウエイトトレーニングに該当します。

 

そんなウエイトトレーニングですが、みなさんはどのようなフォームで行なっているでしょうか。

 

運動指導の場面で”正しいフォームとはどのような姿勢や動作なのか“と、よく聞かれることがあります。また、ネット上でも誰かが投稿した各種エクササイズのフォームを見て、これは正しい、これは間違っているなどの意見が多く見られます。
※ 今回の記事では、”フォーム=姿勢+動作” としています。

 

その中でも多いのが”スクワット“。皆さんは、正しいスクワットとは何かをご存知でしょうか。膝がつま先よりも前に出ないフォームでしょうか、また膝が内側に入らないフォームでしょうか。色々と言われたりしますが、果たしてそれは本当なのでしょうか。そもそも、本当に正しいフォームというものが存在するのでしょうか。

 

皆さんはどう思われますか。

 

このあたりの考え方は、指導者によって違うだろうと考えておりますが、現段階での私の考えでは正しいフォームはあると考えております。その正しいフォームとは”安全かつ効果的” であることを前提とした姿勢および動作を表します。

 

安全でないフォームとは、怪我のリスクが高いフォームになります。例えば、”スクワット中に腰椎-骨盤が後傾してしまう”などがそれに該当します。怪我をするためにトレーニングを行なっているわけではないので、どんな効果があれど正しいフォームでないと考えてます。また、安全が伴っていても自身の目的を達成するためのフォームでなけでは、正しいフォームとは言えないと考えています。

 

それでは、安全を前提とした”効果的なフォーム“とはどのようなフォームになるのでしょうか。大きく分けると、以下の3つになるのではないかと考えられます。
※ 姿勢改善などといった機能改善は別にしております。

 

① 筋肉を作るためのフォーム
② 重量を上げるためのフォーム
③ スポーツパフォーマンスを高めるためのフォーム

 

①筋肉を作るのフォームとは、主にボディビルやフィジークの選手たちが行うようなカラダを作ることを目的とした方法で、筋肥大やストリエーション(筋繊維の走行)・セパレーション(筋肉の分かれ目)など、より筋肉を美しく、また、カッコよく見せるための動作を追求したフォームで行うものになります。

 

② 重量を上げるためのフォームとは、主にウエイトリフティングやパワーリフティングの選手たちが行うような効率よく重量を上げることを目的とした方法で、最も効率よくバーベルを挙上するための身体動作およびバーベルの軌道を追求したフォームで行うものになります。

 

③ スポーツパフォーマンスを高めるためのフォームとは、主に各種スポーツの選手たちが行うようなパフォーマンス向上につながるフィジカルを得ることを目的とした方法で、 競技(特異的)動作の向上や改善をするために必要となる筋力や柔軟性を手に入れるために行う方法となります。

 

以上のように、ウエイトトレーニングといっても何を目的とするかによってフォームが異なります。そのため、スクワット1つにしても、バリエーションは10個、30個、それ以上と考えられるでしょう。そのため、ネット上で散見されるフォームに対して、様々な意見が寄せられるわけですね。
※ 安全でないフォームの場合は、それ以前のお話ですが…

 

また、同じ目的であれど、各々の身体的特徴(四肢の長さや、大腿:下腿の比率など)によっても正解とされるフォームが異なるため、自身にとって最適なフォームを見極めるの至難の技だと考えられます。

 

適切なフォームで行えていない場合、いつまで経っても目的を達成でいないケースも考えられますので、思考錯誤した上で難しいなと感じた場合は、一度専門家に相談されることをお勧めいたします。

 

スポーツのためのウエイトトレーニングとは

さて、この記事を読んでいただいている方はスポーツを嗜まれている方が多いと思いますので、③スポーツパフォーマンスを高めるためのフォーム とはどう言ったフォームなのかと気になられる方も多いと思います。そこで、一部そのことについて触れてみたいと思います。
※ 長くなってしまうので別の記事にまとめたいと思います。

 

以前、練習とトレーニングという記事を書きました。その記事では、トレーニングとはパフォーマンスを向上させるための土台を作るための運動である、という説明をさせていただきました。本記事で説明したウエイトトレーニングも、パフォーマンスを向上させるための土台作りになります。

 

しかし、時々③スポーツパフォーマンスを高めるためのフォームという認識を、どう解釈したのか”競技動作に類似したフォーム“で実施している方を見かけることがあります。おそらくスポーツパフォーマンスを高めるためには、競技動作に類似している動作に負荷をかけ、その姿勢で発揮されるパワーがあがるのではないかと考えているのでしょう。

 

陸上競技のやり投げで例えてみましょう。

 

投擲動作とプルオーバーという種目が胸椎から肩関節を動かす動作が似ているという理由で、ケーブルマシンを利用しての “立位 + 上体を後方20〜30度傾ける + 片腕動作” で行なったら、パフォーマンスが向上すると考えられるでしょうか。

 

個人的には、そう考えません。

 

仮に、スポーツパフォーマンスが上がるかもしれませんが、それ以上に怪我をするリスクがあることに合わせて、繊細な競技動作が崩れる可能性があるため、避けたいと考えます。それ以前に、それは競技動作を高めるための練習なのか、競技動作を高めるための土台を作るトレーニングなのかさえも曖昧であるため、私はそのような指導はクライアントにしたくないと考えています。

 

トレーニングは、あくまでも競技動作(特異性)を習得する、または高めるために必要となる身体能力を補強です。競技動作を高めるためには、シンプルに技能(スキル)を磨くための練習を行うほうが、全体的に効率的かつ効果的であると考えられます。

 

みなさんも、練習とトレーニングを理解しながら、自身にとって最適なフォームでウエイトトレーニングに取り組んでみてくださいね。