トレーニングの教科書
サイクリングのパフォーマンスを向上させる因子として、ペダリングがあります。
ロードバイクやトライアスロンに関する雑誌やYouTubeでも、度々特集され、SNSなどでも話題に上がる内容ではありますが、発信されている方や注目しているポイントが違うことで内容が変わってくるため、多くの人が謎に陥りやすいスキルでもあります。皆さんは、普段どのようなペダリングを心がけて練習しているでしょうか?
こちらでは、パフォーマンスを向上させるために、まずは知っておくべきペダリングの基礎基本的な知識をお伝えいたします。
ペダリングに関する基礎的な知識
ペダリングの話をする際には、まず以下の図に合わせて、体の機能を理解しておく必要があります。
まず、ペダルの位置を時計と同じように表し、
0時の位置を上死点
6時の位置を下死点
といいます。
次に、
0時から6時までのペダルを踏み込む動作を踏み脚
6時から0時までのペダルを引き上げる動作を引き脚
といいます。
【補足】
多くのメディアは”足”と表記されていますが、今回は複合的な関節・動作を説明する為”脚”と表記しています。
自転車の推進力に関わるのは踏み脚は伸展という機能が
踏み脚の動きを邪魔せずに引き脚は屈曲という機能が
それぞれ関与してきます。
【補足】
関節を伸ばしながら力を発揮する動作を伸展、曲げながら力を発揮する動作を屈曲と言います。
ペダリング時の伸展・屈曲は【 股関節 / 膝関節 / 足関節 】の3つの関節が複合的に作用するのですが
3つの関節が伸展することをトリプルエクステンション
3つの関節が屈曲することをトリプルフレクション
といいます。
踏み脚(伸展)で使用される関節に伴う筋肉(主働筋)は、以下になります。
✔︎ 股関節 … 大臀筋 / ハムストリング (起始部)
✔︎ 膝関節 … 大腿四頭筋
✔︎ 足関節 … 下腿三頭筋
引き脚(屈曲)で使用される関節に伴う筋肉(主働筋)は、以下になります。
✔︎ 股関節 … 腸腰筋
✔︎ 膝関節 … ハムストリング (停止部)
✔︎ 足関節 … 前脛骨筋
以上を、ペダリングの基礎知識として理解しておきましょう。
※当記事ではアンクリングおよびペダリング効率については触れません
ペダリングに関する基本的な知識
上記を踏まえた上で、より自転車を速く進める為には
✔︎ 踏み脚の強さ
✔︎ 引き脚のスムーズさ
が大切になってきます。
理解しやすいように、数字(パワー)で説明したいと思います。300wで巡航しているとしましょう。
パワーは左右の出力を合計した数値が出されますが、左右それぞれ150w出しているとします。そのパワーも、パワーメーターの性能によりますが、物によって
✔︎ 踏み脚(ポジティブなパワー)
✔︎ 引き脚(ネガティブなパワー)
を把握することができます。
以下のような感じです。
右 : 踏み足 180w のトルク – 左 : 引き足 30w の抵抗 = 右の出力差 +150w
左 : 踏み足 170w のトルク – 右 : 引き足 20w の抵抗 = 左の出力差 +150w
GARMINベクターやペダリングモニター等を使用し、各種アプリ等を使用すれば、自身の左右の踏み脚および引き脚がどのように機能しているかわかります。※ 当方はWKO5で確認します。
上記のように自身のペダリングの特徴を考えた場合、
✔︎ 踏み足が弱い場合 … 踏み足で使用される筋群を鍛える or 適切な動作を習得する必要有
✔︎ 引き足が下手な場合 … 引き足で使用される筋群を鍛える or 適切な動作を習得する必要有
ということが考えら得ます。
※最終的なパフォーマンスは踏み足の強さがとても大切です。
踏み足で使用される筋群を鍛える代表的なエクササイズは
✔︎ スクワット
✔︎ ルーマニアンデッドリフト
✔︎ リバースランジ
引き足で使用される筋群を鍛える代表的なエクササイズは
✔︎ レッグカール
✔︎ ノルディックハムストリング
✔︎ ニートゥチェスト
があります。
サイクリングのみで順当にパフォーマンスが向上すればそのまま走ればいいと考えていますが、パフォーマンスが頭打ちになった際にその原因の一つとしてペダリングが原因だと考えられる場合は、上記のようなトレーニングも適切に取り入れることで再度パフォーマンス向上につなげることができると考えられます。
最適な動作が行える、最適なポジションへ
ペダリングからパフォーマンス向上に繋がる因子は、今回説明した筋力的な物だけでなく、以下も関与していることを理解しておきましょう。
✔︎ サドル … 上下 / 前後位置
✔︎ クリート … 前後左右 / 角度
✔︎ シューズ … ソールの角度 / 硬さ
ロードバイクは、適切な動作を行うことでパフォーマンスにつながります。そのためには、その動作を行うことが可能なポジションであることが理想です。本記事にて述べた動きを意識できる適切なポジションかどうかも確認しながら、ロードバイクに乗ってみましょう。
ぜひ、参考にしてみてください。
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